「桃の女王」

かつて、列車の窓が開く時代、岡山駅では「岡山名産の甘い水蜜桃は如何ですか」と、当時はセロファン紙に一つ一つリボンで結んだ桃をバスケットを抱えた桃売り嬢の声が聞こえる風景を思い出す。

 

我が故郷の「桃の女王」と言われる「白桃」の実が日を追ってスクスクと

大きくなっていると聞く。

 

確か、幼少期に母が、ベージュ色の桃の皮を、爪楊枝を使ってスルーと

傷つける事なく、魔法のように、綺麗に剥き終ると、見事に桃の形を残している。

 

果肉からは甘い香りが周りに漂い、ジューシーそのものである。

 

毎年、桃の季節になると、故郷を離れても、頬っぺたが落ちる程、美味しかった記憶は、今も鮮明に残っている。

 

岡山県で一番小さなまち、「あさくち」には、桃を始め、ぎゅっと美味しいものが詰まっている幸せなまちである。