心を整える

外来や入院中の方から、「検査の結果が思わしくないので、また入院しなければ」とか、「化学療法も限界なので、今後のことを相談しましょう」とか、「これ以上リハビリを続けても…」などなど。

本当に言葉を失うような話を伺うことがあります。
家族に話をするのがとても辛い苦しむ方もいます。

特に独り住まいの方の不安な気持ちには心が痛みます。

どうすることもできない状況の方にはただ頷くばかりです。
私のような第三者の立場に話をする方が、家族に話すより気持ちが落ち着くともおっしゃいる方もいます。
同じようにそこで私が動揺することはかえって不安を増大させることになりかねません。
そのような状況の場合、白鳥を思い出すようにと指導を受けました。

水面上の白鳥は優雅に泳いでいるように見えますが、水面下では大変なエネルギーを使って、足を絶え間なく動かし続けているそうです。
今でいえば、シンクロナイズの選手たちに例えられるかと思います。
この例えからも、苦しんでいる方や、辛い思いを話せる相手がいない方とかに接するときこそ、まず私自身が「心を整える」ことが大切です。
そのためには、いつも接するときは、先入観を持たないで、気負わないで、穏やかな眼差しで、静かにゆっくり頷いて差し上げることではないでしょうか。