笑顔に学ぶ

これまでの様々な病気を通していつも忘れることができないのは『笑顔』でした。

それぞれの立場で私に向ける笑顔は、優しく静かなほほえみでした。

子供心に私に大きくなったとき、病気でつらい思いをしている方に、

私もいつしかあのような『微笑み』をかけられる存在になりたいとの

思いが、病気になるたびにどんどん膨らんでいました。

これまでの体験が決して無駄にはならない。逆につらく苦しんだ体験があるからこそ、病気の方の気持ちが少しくみ取れるのではないだろうか。同じ気持ちには届かないけれども。

いつしかそのような思いが私の心の中に芽生えてきました。私は社会人になっても周期的に入退院や手術を体験した時に、僅か一瞬でも良いから自分の病気のことを忘れることができたのが、やはり周囲の方のほほえみや笑顔に接した時でした。

『笑顔』は特に病気の方にとっては有効なコミュニケーションの一つと言えないでしょうか。

と、同時に病気の方に大切なコミュニケーションが『言葉』があります。ボランティア活動の一つに「お話し相手」があります。

ご存知の方も多いと思いますが、私が病気の方に心掛けるようにしていますナイチンゲールの『看護覚え書き』の一節を紹介します。

「患者は、(中略)たった一人でもよいから、何でも自分の思っていることを率直に話せる相手がいてくれくれたら、どんなにありがたいことだろうと思っているのである」

この言葉に私は深く心を打たれました。はたして病気の方にとって「たった一人の信頼される」存在になれるのだろうか。