気遣う

昨年の東京は大雪に見舞われました。おそらく雪が降ると昨年の2月の大雪を思い出される方も多いと思います。

あいにく腕時計の電池が切れてしまいました。普段あまり時計を見るという機会がないはずですが、人間は不思議だな思うのはないとか見られないとわかると、急に不安になって時計の有難みを実感します。

大雪の中を時計のメーカーの修理コーナーに思い切って出かけました。

長靴の中まで雪で濡れて、冷たくなってしまい後悔の気持ちがよぎりました。修理コーナーのカウンターの前の私に、男性の社員が声をかけました。「足元が悪い日にわざわざお越しいただきましてありがとうございます」その男性は30代前半のように見えました。

私はその男性社員の労いの言葉で冷たくなった足元まで温められました。

「どうぞお気をつけてお帰り下さい」との気遣いの言葉を背中で聞きながら、満足の気持ちでまた雪の中を帰りました。盛んにホスピタリティと言われるおもてなしが喚起されていますが、本来ホスピタルこそこの気遣う労うことを忘れてはいけないのではないでしょうか。