左に花火 右に月

午前中、言葉を交わすこともなく、4年ぶりの隅田川の花火大会に、私も

人並みに出かけた。

 

途中で、知人に出会い、声をかけると、何と、口だけパクパク動いて、全く声にならない。

 

久し振りに恋煩い(声患い)に、夏風邪は治りづらいと言われるが、服用しながら、状態の改善は見られないが、平温に下がっただけ、しんどさは無い。

 

地元の友人から聞いていた、背伸びをしなくても、良く見える穴場で、落ち着いてみることができた。

 

無理をしてもと、それなりに花火の雰囲気を味わったので、踵を返した先に、煌々と大きく輝くお月様に気が付く。

 

確か、8月2日と8月31日だと記憶しているが、確か、2度満月に会える。

 

先日の坂本龍一著の「シェルタリングスカイ」の原作者ポール・ボウルズの一部による「ぼくはあと何回、満月をみるだろう」が頭を過る。

 

間もなく4年目を迎える脳神経外科の術後、私は病室の窓に時刻を追って近づいてくる月に引き込まれそうな想いをしたのだった。

 

人込みを避けながら帰宅した私は、既に宴を過ぎた空をベランダから見上げながら、何故か、満足感が無い。

 

恐らく、情緒性にかけているのではないかと想った。

 

今年生誕百周年の池波正太郎著の「鬼平犯科帳」のドラマのエンディングに流れるクロード・チアリの音色と共に、江戸下町の庶民の四季の映像にワンショット花火の場面があるが、堪らなく心が惹かれちゃうのだ。

 

検索していて、エンディングの曲はジプシーキングスによる「インスピレーション」だと知った。