AIと報道のコラボ

2年近く前に大学の大学院でAIについて研究をしている青年と知り合った。

 

胸ときめく出会いではなく、自宅の近くで、自転車のタイヤがパンクしているのを見かけた私は、つい日頃のお節介で、近くの自転車店を紹介したというだけだ。

 

未だコロナ禍の真っ最中だが、脳神経外科の術後のリハビリを兼ねて、欠かさずに朝夕散歩に出かけていた時のことである。

 

夕闇が迫る頃、かの自転車の青年に、信号待ちで偶然再会した。

 

信号が変わるまでの短い時間ではあるが、彼が日中ずうっと部屋にこもりきりで仕事をしているので、気分転換に自転車で出かけているという。

 

思わず、「お仕事って?」尋ねたところ、大学院で、AIの研究をしているという。

 

「わああ、凄い。時代の寵児じゃない、頑張ってね、エールを贈るわ」と言い終わると同時に、信号が変わったが、青年は足を止めて、失礼だがと、ぺこりと頭を下げ、これまで高齢の女性から理解されたり励まされたことがなかったそうだ。

 

マスク越しから、キラキラとした目で、「嬉しいです。頑張ります」と。

 

愛読紙の日本経済新聞の今日20日の朝刊に、日本経済新聞社としてのAIの報道についての考え方が、編集局長名で記載されている。

 

「責任ある報道に寄与する場合にのみ、限定的にAIを利用する方針であり

AI作成の文章や画像をそのまま公開することはない、利用する場合や、提案を採用する場合はその旨を明記」と続く。

 

記事の文末に「ニュースの現場に足を運び、培った経験をもとに分析し、正確な情報を読者に伝える。このプロセスを担うのはほかでもない人間です」とある。

 

「考え、伝える」メディアとして、「責任ある報道」は人が担うという考え方に、永年の購読者として納得をした私にとっては、今後も「知の泉」として心強く想った。