種もみ蒔き

昨日の夕刊紙に、天皇陛下が苗代でうるち米ともち米の種もみを蒔かれたという記事が掲載されていた。

 

その記事に重なる様に、私は母校の小学校の体験学習が頭を過った。

卒業生の私は、連日、ある拘りから自分を解きほぐすことができずに藻掻いているのにと、複雑な気持ちになる。

 

コロナが始まる前の4年前から、故郷の宝や伝統を大切に守り、学んでいくといった、学校と地域と家庭の三者が、将来の子どもたちを育てていきましょうという目的で、始まったものである。

 

当初は、自由参加で、学年を問わず、保護者も参加してといった形だったが、ここ数年は、学年単位で、地域学習をすることになった。

 

その一つが、5年生による「種もみ蒔き」に始まり、田植え、草取り、害虫駆除、稲刈りと続く。

 

コロナも比較的安定状況にあるので、昨年11月に稲刈りの日に帰郷した。

元気に生き生きと鎌で刈り取っている5年生を見ながら、胸が熱くなってくる自分に気づいた。

 

刈り取ったばかりの稲束の香りが、辺り一面に漂っている。

これぞ、故郷の香りである。

 

ああ、自然は、何と純粋なのだろうかと、都会の生活に疲弊しきった私の心も体も、温かく包み込んでくれた。