故郷の力を知った

これまで私は男性社会の中で、過ごした。

 

処が、病院ボランティアでは看護師中心の女性の方が遥かに多くが関わっているのが現実であった。

 

その一つに看護師はナースでなくなくナーサーであるべきだが、依然として、女性優先のナースの世界であった。

 

当時、終末期の患者様に話し相手のボランティアをしていた私が、ぷつんと精神的に追い詰められ、心身的に体調を追い詰められてしまった。

 

その時、決して弱音を吐かない私が、50年近い友人は案じて、私を自分の

ふるさとである鶴岡に、見るに見かねてだろうと思うが、誘ってくれた。

 

私は、ある意味で、自分にも故郷があることを忘れていたのである。

 

処が、ちょうど、現在の私の苦痛を察して、さり気無く私を自分の故郷である鶴岡に連れ出してくれたのである。

 

何とも言えないさり気無い客人として扱うことなく、自然体で迎え入れたことに、初めての友人の故郷にありのままの自分で過ごせた。

 

海辺で育った私にとっては、「山の神」である出羽三山神社には、関心ががあった。

 

特に、私は、羽黒山の五重塔に、瀬戸内に海の神がある様に、「山の神」に会いたいと思っていた。

 

杉木立にそびえる羽黒山の五重塔を前にして、私は言葉を失った。

約29メートルに聳え立つ羽黒山の五重塔の前で、慣れない女性社会の中での苦痛にも悶えていた私の苦痛を全て、受け入れてくれたという「山の神」の声を聴いた。

 

これまで、私は我がふるさと岡山に対して、後ろ向きであったが、友人により、私にも素晴らしいふるさとがあったことを気づかせてくれたと想っている。

 

改めて、ふるさとの存在が如何に大切な存在を教えてくれたのである。

 

今は、何たって、我がふるさと浅口市に対する目覚めを促してくれたと

有難く思う友人の故郷である鶴岡市は、私にとって、ふるさとが如何に、

成長しても初心に戻れる貴重な羅針盤であると認識した。