桜の開花に願いを込めて

いつものように、新聞を開いた広告の中に、警視庁の一枚のチラシに私は確か数日の新聞記事に「炭鉱のカナリア」という見出しと同様に、一瞬、釘付けになった。

 

先の「炭鉱のカナリア」は、経済用語として記載されたものだが、私には今朝の警視庁による「地下鉄サリン事件って知っていますか?」という見出しに始まるところの忘れてはいけない日本を震撼とさせた事件が、フラッシュバックする。

 

慌ただしいテレビの報道に何か起こっているのか、実態がつかめないまま私は、ダダごとではないと思いながらテレビから離れられずに、刻々と報じられる状況を見入っていた。

 

その時、数年前に結婚した若いカップルの妻から、電話がかかってきた。

「マリ子さん、主人がもしかしたら、いつも出勤の際に利用している地下鉄の時間帯なの、どうしたら」と、後泣くばかりでかき消された、あの声は今でも私の耳に残っている。

 

凡そ、27年前と言えば、みんながスマホ時代でなく、ガラケーか、ポケベルの時代である。

 

兎に角、私は彼女の自宅に温かいジャスミンティをポットに、駆け付けたところ、数分前に、いつもの電車に乗り遅れて、幸いに命拾いしたとの連絡が入ったという。

 

然し、まだ興奮状態の彼女に持参した温かいジャスミンティを飲ませた。

確か、母親から、神経の高ぶりを沈めるためには、温かいジャスミンティは効果があると聞いていたからである。

 

今、宗教団体ではなく国家と国家の政治的綱引きというか、一触即発とも思われる世界が危険な状況にある。

 

改めて、警視庁のチラシを知らない人は、それこそ、ネットで正確な情報を検索してほしいと願っている。

 

拭われない歴史の事実に気持ちが沈みがちなところに、午後に気象庁より

東京のソメイヨシノの開化宣言が発表され、気持ちが和らいだ。

 

日本人にとって、「桜」というのは特別な想いをそれぞれが持っている。

 

 今日の桜の開花が、事件の被害者の方の心の慰めに少しでも届くようにと願いを込めて。