窓ガラスを磨く

定時に目を覚ますと、カーテン越しとはいえ、部屋がとても暗い。

 

やはり、お天気が優れないせいかと思いながら、ラジオから、「今日は日の出が一番遅い日だそうで、必ずしも冬至とは限らない」と、流れた。

 

更に、一か月ぶりの6度という暖かい朝で、日中は逆に気温が上がらず、寒いとの予報に、年末から気にしていたベランダの窓ガラス磨きをしようと

思いついた。

 

窓ガラスの掃除は曇り空か、雨に変わる前が最適と聞いたことがある。

天気予報通り、寒さを感じないで、まだ、起きたばかりなので、踏み台に乗るのも気を付けながら、水拭き後、空拭きをした。

 

お陰様で、「見通しが良くなった」と、これで、やっと、昨年末の宿題が片付いた。

 

外は、今にも雨に変わっても不思議ではないほどの、重苦しい灰色の雲が空中を覆いかぶさっている。

 

窓ガラスとは、かけ離れているが、病院ボランティアをしている時に、眼鏡を使用している病気の方に、「宜しければ、眼鏡を磨きましょうか」と

話しかけると、「えっ、そう、磨いてくれるの」と、表情がほころぶ。

 

「見通しが良くなった」というフレーズは、磨き終わり綺麗になった眼鏡を渡した時に、「嗚呼、どうもありがとう。これで、見通しが良くなったよ」と、眼鏡をかけて、病室中を見廻していた。

 

それ以来、私は、「見通しが良くなった」という言葉が心に残り、私自身も何とか、今年は「見通しの良い」年にしたいと、願っている。

 

明日の「鏡開き」までに間に合った。