奥歯を噛み締めている

最近、奥歯を噛み締めている自分に気が付く。

 

知らず知らず、我慢しなければ、耐えなければという思いが、奥歯を噛み締める状況を作っているようだ。

 

リラックス、リラックスと言い聞かせているが、一向に改善の兆しはなく

思い出すと、マッサージを繰り返している。

 

そうすると、硬くなった筋肉が少しづつ、柔らかくなってくる。

 

夕刻、図書館にリクエストしていた図書の連絡があり、引き取りに行く。

 

美術の商いをしている時に、シンプルで、大胆でもあり、伸び伸びとした作品で、今年3月に亡くなられた美術家の篠田桃紅氏の「これでおしまい」である。

 

タイトルからも想像がつくように、実に、思い切りが良いというか、物事に対して、作品同様にスパッと捌いてしまうところに図書館からの連絡を

待ち遠しく思っていた。

 

精神的に落ち着きを失っている私にとっては、必要とされる図書である。

 

寝付けない私は、さっそく手に取り、時計の進むのも気にならず、読み続けたのである。

 

何時しか、奥歯を噛み締めていないことに気が付く。

 

そして、月曜日の朝を迎えた時、僅かであるが、蟠って澱のような気持の

重さが軽くなっていくのが分かった。

 

何としても、頭の隅から解放されない問題を、如何に乗り切るか、毎日、

思い巡らし続けている。

 

今、私は「これでおしまい」という一冊の図書に救いを求めている。