白いセーターと鯛のお刺身

偶然にも、昨年の退院日が、術後一年の診察日となり、台風の影響下で、

低温にもかかわらず、湿気が多く、空気が重く感じられる。

 

丁度、自宅前に9月の2学期より移転してきた児童の登校時刻が重なり、言葉を交わすこともなく、ひたすら歩いて居る様子が、気になった。

 

玄関先で、校長先生が、アルコール消毒薬を持って、児童たちに「おはよう」と、マスク越しだが、笑顔で元気よく声を掛けている。

 

消毒液を持っているのは、校長先生だけでなく、他に数名の先生も、声かけているが、何と、校長先生の前には、何と、行列ができている。

 

子ども達は、正直で校長先生の消毒液を待っていると察した。

 

校長先生に消毒液を掛けてもらった児童たちは、嬉しそうな表情に変わり挨拶も元気な声で「おはようございます」と。

 

その一人一人に向き合っている姿勢に、今年3月で定年を迎えた母校の校長先生の姿が重なり、思わず、胸が熱くなってしまった。

 

昨年執刀してくださった脳外科の部長先生は、瀬戸内出身で、時折、懐かしいふるさとのイントネーションに、朝夕の回診が待ち遠しく思った。

 

お陰様で、異状は見られないとの結果に、ほっと胸を撫で下ろすと共に、

「憎まれっ子世に憚る」手も良いから、これからも、「助けて頂いた命」を大切にしていかなければと想った。

 

今にも、一雨来そうな空模様であるが、気持ちは明るく、ちょっと、美味しいものでも買って帰ろうかなと、思っていた私の前に、白いセーターが

目に入った。

 

そうだ、この白いセーターを術後一周年のお祝いにしようと、買っちゃいました。

 

お祝い気分は抜けず、夕食に「鯛のお刺身」を買っちゃいました。