小さな紳士とお喋り

日曜日の朝、散歩コースを近くの公園から始めると、小さな紳士と目があった途端、私に、近づくながら、話しかけてくる。

 

傍らで、我が子に寄り添っている母親の表情が明るくなってくるのを感じた私は、小さな紳士と、目線を合わせて、次の行動を待っていた。

 

たくさんのおもちゃが並んでいる。

小さな紳士は、私に「救急車」を持ってきてくれた。

「ありがとう。おばあちゃんのこと、心配してくれて」

 

何とも、恥じらいながら、嬉しそうな表情をする小さな紳士に、母親は、

「申し訳ございません、救急車をお渡しするなんて、どうぞ、気にしないでください」と、頭を下げる。

 

然し、私は、確かに我が家系的に白髪の傾向が強く、どうやら父親の血筋で、又、昨年9月の術後、白髪の勢いは強くなった。

 

小さな紳士は正直であるゆえに、私を案じて救急車を渡してくれたのでは

ないだろうか。

 

恐縮する母親に、私はむしろ、感謝すべき温かい心の持ち主だと伝えた。

 

間もなく今週中に3歳の誕生日をむかえると母親から聞いた。

一人っ子で、おばあちゃんの存在も知らずに育ってきた小さな紳士は、ともすれば、下向きになりがちな今日この頃、私に素晴らしいプレゼントを

プレゼントしてくれた。

 

「健康に気を付けてね」と言いたかったのではないだろうか。

優しい心の持ち主の小さな紳士の将来が楽しみである。

 

今日の散歩は、目標の歩数には届かないが、心の温もりを十分頂いた。