新書案内の魅力

新聞の楽しみの一つに、各出版社の新刊案内を一通り目を通す。

 

5日付の日本経済新聞の夕刊に小学館の紹介欄に、「土門拳」の名前に目が留まった。

 

「小学館SUMO本第2弾」に、興味を持った私は、何と「ビックリ!超巨大、見開き横1メートル‼」とは、一瞬、私の読み違いかと思った。

 

実際にスケールで、1メートルの大きさを確認した。

 

これまで、些か、編集に関わってきたが、海外では「巨大本」はあったように聞いたことがあるが、日本では、「超巨大アート本」と言えるのではないでしょうか。

瞬間的に、「重そう」という、些末な感想しか思い浮かばなかった。

 

確か、2003年だと記憶しているのだが、友人の郷里が鶴岡出身で、かねてから私は、羽黒山の五重塔を見たいと思っていた。

 

その私の憧れに近い想いに、夏の帰郷時の誘いに、やっと願いが叶った。

 

酒田空港に降りると、友人の妹さんが迎えに来て、酒田市には、飯森山公園にある「土門拳記念館」を案内してくれるという。

 

土門拳の作品は、「腕白小僧がいた」という東京の下町の子どもたちの

元気な表情と、「筑豊のこどもたち」の作品が好きだった。

 

そのほかの室生寺、法隆寺の作品や、仏像等の作品は、崇高さと、迫力があり、日本の独特の寺院仏閣のバランスの素晴らしさに、どの作品からもレンズを通して途轍もないエネルギーと心眼に近い情熱が感じ取れた。

 

記念館の素晴らしい建築に関心を持った私は、年配の学芸員の方に、設計者は谷口吉生氏と知り、質問を続けた。

 

何と、日本を代表する錚錚たるメンバーに、驚いた。

1964年の東京オリンピックの選手たちの競い合うポスターのグラフィックデザイナーの亀倉雄策氏による銘板をはじめ、庭には、草月流の勅使河原宏氏、イサムノグチの彫刻、草野心平氏の銘石など、丁寧に、また誇らしげに、二人を案内、説明をしてくださった。

 

今でも、私は、東京にいても、なかなか、これほどの素晴らしい芸術家の作品に接する機会は、ありえないといっても過言ではない。

 

また、別室の展示室で、私の好きな「こどたち」シリーズも、手に取って

見せて頂いた。

 

記念館の前面には、白鳥湖(拳湖)に、夏空が湖面に写り、遠くには鳥海山も見えるそうで、、美しい飯森山の自然林が茂った、素晴らしいの一言に尽きる「土門記念館」を、今は、懐かしく貴重な思い出になった。

 

新書案内で、コロナ禍の現在、「思い出の旅」に浸ることができた。