ビルの谷間に咲く真っ白い紫陽花

久し振りに、真夏の日差しを避けながら、大手町迄出掛けた。
大手町の長年来のプロジェクトも、オリンピックを意識してか、ほぼ、工事の音が聞こえなくなった様に感じた。

凡そ、去年の暮れから自粛生活を併せると、半年程のブランクがある。
スッカリ、その期間に、目的地に着くまでの道程が変わっていた。
思わず、駅員さんに尋ねる浦島花子の私である。

用事が済んで、確か、あのビルの谷間にある植木はこの季節は紫陽花だったと想い、楽しみを抱え、遠回りをしたが、期待を裏切らない大好きな真っ白い紫陽花が見事に咲いていた。まさに見頃と言える。

気がつくと、高層のビルとビルの間を、涼しい風が通り抜けている。
此の所の生活に疲れていた私を、心身ともに都会のど真ん中にいても、優しく包み込んでくれた。

暫く、私はその場で、白い紫陽花に語りかけていた。
どんな状況になっても、東京での生活しか無いのである。

今年の初めに印刷した名刺に、私は予感の様な想いが過ったのである。
恐らく、もう名刺不要の生活になるであろうと。

未だに、生活のリズムが取れない為に、身体が抵抗しているだけに、来月の精密検査も、恐らく、一病幾つになっているだろうかと、案じているが、その時はその時と思っている。

そんなことを紫陽花に語りかけていたが、私は白い花が好きで、特にこの季節の白い紫陽花には心が休まり、和むのである。