メークインと鈴蘭

前日の夜からの体調に不安を覚え、診察を受ける。
主治医より、案じて症状は見られないとの結果に胸を撫で下ろした。
唯、最近、私の長所であり、欠点でもある、「ノー」言えない事情というか、見るに見兼ねて、自分のリズムを省みないで、突き進んいる状況が続いている。

チョット疲労感を感じ始め、脳裏に後悔が宿り始めていた。
流石、主治医は、私の生活に支障をきたし始めているのを見透かし、一言「自分を大切に、頑張るのも良いけれども、折角順調になった状態だから、疲れない程度にね」

まさに「どんぴしゃり」である。
もう一度今日から、電波時計では無いが、忠実にリセットしようと。
先ずは、食生活の改善からと、帰りにスーパーに立ち寄る。

野菜売り場で、芽室のメークインというラベルが目に入った。
思い掛けなく「芽室」という産地名に、懐かしさで、迷う事なく買い物かごに入れた。

懐かしさというのは、嘗て、銀座で美術の仕事をしている時、偶然通りすがりに「芽室町」の小豆を使ったお団子を買い求めた。
赤いダイヤと言われる小豆は、味といい、粒の大きさといい、コクがある満足する「粒あん」だった。
早速、芽室町の生産者宛に、「とても美味しかった」と葉書を認めた。

其の後、確か初夏だったと思うが、芽室町から、私宛に届いた。
実は、私は芽室町への葉書については、すっかり忘れていた。
何だろうと包みを開けると、透明のケースに、鈴蘭の花に令状が添えてあった。

暫くは送られて来た遠く北海道の「芽室町」からの鈴蘭の花に、純粋な生産者の気持ちに、胸が熱くなった。

帰宅後、往時を思い出しながらメークインの皮を剥いていた。