最後のクリスマスツリー

今年も病院にクリスマスツリーを飾り付ける日が来た。
日頃の無機質な医療の現場に、七夕飾りとクリスマスツリーは社会の風を届ける上で欠かせない季節感を提供出来る点からも、ボランティアを導入している医療機関では師走と共にボランティアの大切なミッションとの言っても過言では無い。

凡そ32年の長きに亘って、クリスマスツリーを少なくとも二十数年、飾り付けて来たが、15年を活動して来た現在の病院を最終章として、病院ボランティアに区切りを付けたいと決心していた。

日頃活動日が異なるボランティアが、イベントを通して「ワンチーム」になる良い機会と、私は思っている。

実は、昨年のクリスマスツリーの日が数日前から、何とも言えない重苦しい気持ちが続き、既に解決していたと思っていた不愉快さがフラッシュバックした。
一年を経過しても、心の何処かに未だ傷が残っていたのだろうか。

此れまでに私は精神的に致命的な打撃を受けた経験が無いという恵まれた環境で過ごして来た所為もあり、物心がついて凡そ70年になって味わった初めての経験だった。

社会人になっても男性社会の職場で働いて来た為に、当時は男性の庇護の下で守られて来たという、私には居心地良く幸せな社会人だった。
然し、現在は、女性とも言えど、私には想像も付かない厳しい世界だと察するも、自己顕示を常に発信しなければならない現実に、私は体力的にギブアップだ。

その様な行為に至る迄には、それなりの問題点を抱えた上での、幾つもの経緯だあっての結果であるが、今更、私は説明をする気持ちはサラサラない。

約一年の時を経て、私に対する攻撃に近い行為は、周囲の人に理解されていると、確信出来たのは、幸せである。

ボランティア活動の最終章と心に納めて、今後も謙虚に悔いのない様に、一瞬でも病気の方の気持ちが安らげる様、退き際を見極めながら、努めたいと想っている。

昨年の初めての経験が、今、私を成長させたと捉える迄に心の余裕が出来ている自分に、決して無駄では無かったと想っている。

恐らく最後になるクリスマスツリーの飾り付けを通して、心穏やかに過ごせた満足感を噛み締めている。
病院ボランティアの最終章に相応しい日となった。