別世界に生き甲斐

街路樹のマロニエの花が満開の5月の第2土曜日、日曜日の2日間、私は全くの別世界に身を置くことがとても楽しい。

恐らく10年以上、その2日間は友人のアクセサリーのお店のお手伝いをする。
然も、売り子として、アクセサリーを殆ど初対面の人に「いかかですか」「とてもお似合いですよ」と勧める立場になる。

ところが、気に入ったアクセサリーを見つけた人の喜ぶ表情に、私も嬉しくなるからだ。
身に付けて、鏡に映る満足気な笑顔に出会うと、素直に喜びを共有できることが、私の楽しみに繋がる。

全く、2日間は別人になれる。昨日迄の自分を何処かに置いて来たとも言える程、生まれ変われる。

体力もない癖に、毎日同じリズムに時々疲れを覚える私は、どうやら、変化に富んでいる方が性格的にも良いようだ。

段々、自ら進んで飛び込まないと、社会的には既に定年と言われても当然だが、友人は今年もよろしくねと、当てにしてくれる。
特にアクセサリーそのものが美しいし、一つひとつ手に取って見るだけで心が豊かになる。

不思議に、マロニエも役目を果たしたかのように、道路に花が落ち始めるのだ。
こうして、私の2日間の変身も終わるが、来年もマロニエの季節を秘かに楽しみにしている。