喜と怒の日

 長い間相棒だったパソコンが、瀕死の状態になった。
恐る恐る腫れ物に触るように使っているが、いつ限界に達するか不安を抱えていた矢先、ネットで検索すると、これまでと同じメーカーのパソコンが一台在庫があった。

まるで、小学校のパワーポイントが終了するや、動きが鈍くなり、「お願い、もう少しだから頑張って」と願っていた。
小学校の原稿が終わるのと同時に、まるでこれでお役目を終え、私を見届けるような熱くなるパソコンに想いが頭を過ぎった。

61年ぶりに帰郷する私を送り出し、パソコンもひと段落後、また新しく故郷との出会いから新しく始まる何かを意図しているかのように思えた。
一方では、ピカピカのパソコンを楽しみに待つ気持ちも正直ある。

悲喜交々とした気持ちの続く中で夕食の支度をしていた。
感傷的になっている私は、突然のドアフォンに反射的に、警戒感もなく解錠を無意識にしてしまった。

NHKの受信料 について、既にデジタル化されているが、私は衛星放送の受信料が未払いとの説明。私は、確かに、NHKは民間放送には敵わない番組を認めるが、衛星放送を見た事はなく、存在すら忘れていた。

お決まりの規則と国民としての義務論を持ち出してきた。
昨今の物騒な世の中、相手が突発的にキレたらと、まあ仕方ないと認めた。
相手はホッとした表情に、変わるが、私は逆に無性に腹が立ってきた。

私の怒りというか納得がいかず、思い切ってテレビの廃棄を決めた。
寧ろ、スッキリした気持ちもあった。テレビがなくても、新聞がある。
元々、私の引き出しの多くは新聞によるものだ。更に断捨離ができたとと思えるほど、テレビに 未練はない。数日後、私の部屋からテレビが消えるのも近い。新しいパソコンの到着が待ち遠しい。

ともすれば、血圧が上昇気味の私は主治医から注意されそうな喜びと怒りの高低差の激しい1日だった。