73歳への脱皮

3月6日は私の誕生日であり、毎年二十四節気の「啓蟄」に当たり、そろそろ虫達も目覚め動き出す日と言われる。

昨年迄は啓蟄の言葉と自分を重ね、誕生日を迎えると何かしなければと言った気負った気持ちに自分が縛られていたと思う。
73歳になったからと言っても急に変化した訳ではなく、それは「薄紙を剥ぐ」かの様に私の周囲で思いがけない出会いにあります。
 
私は、ひたすら想いを文字にする行為が自分の居場所に気付いた時と偶然、嘗てご縁のあった出版社からの一つのメールが契機となりました。
2016年12月中旬「締切りまで、あと3日」と。然も私宛です。
背中を押された私は、そうかちょっとトライしても良いかもとその時の気持ちは自分でも不思議なほどに無垢の気持でした。
締切りの前夜、まるでこんなにスイスイと文字化しているではありませんか。
間も無く日付が変わる寸前、出版社宛に送信クリックした時の私は久し振りに心から清々しさを感じたのです。
結果は、受賞こそ逃しましたが優秀作品との評価でした。
これで良いのだと心が平静になった。
 
文字化と共に、道すがら花をパチリパチリと撮って久しくなり、季節を楽しませてくれる花もブログで活かせたらと想い、2017年5月からアメブロに「花とエスプリ」を開設しました。
毎日、花から色々な想いを呼び起こしてくれます。
Webに花に想いを文字化していたのですが、心身共に躓きお休みを余儀なくしていた私は心が痛んでいた為、アメブロでの再開を果たし、重荷を果たした想いにこれもこれで良いのだと。
 
11月中旬、出版社から 携帯に電話がかかって来ました。
ちょうど5年前に刊行した「笑顔の力」を文庫本として再発行してはとの全く思いがけない提案に戸惑いました。
数日間、5年前に病気の方から理解を示した方々の声が顔が思い出され、涙が頬を伝わって来た私にゴーサインを感じ、72歳迄の一区切りにしたいとの想いが過ぎり、数日後出版社に文庫本刊行の返事をしたのです。
 
またまた、これまでは医療ボランティア体験を機会があれば話して来ましたが、もう一つ気がつくと「接遇」というか機会も増えてきました。
確かに秘書経験もあった私に新たな機会が降ってきたのです。
本当に自分がキリキリしながら、「自己主張や自己顕示しなくとも、何処かで、誰かが見ている」と。
この歳になって実感として、言葉を噛み締めたものです。
 
文庫本化するに当たり、2017年12月14日日本経済新聞夕刊に掲載された森田真生氏が連載中のプロムナードに、情報学研究者のドミニク・チェン氏の言葉で「読むことは書くこと」と記載していますが、何故かその言葉を思い出す。
 
自分の本を再度文庫本化するに当たり、5年前の純粋に書き留めた自分に立ち返る良い機会にもなった。
72歳から73歳を迎えるには、私にはかなりの自己解析を求められていたのではないかと思う。
然し乍ら何一つ今日の誕生日を迎えるに無駄では無かったと言える。
さてさて、73歳を待ち受けているのは何だろう。楽しみに受け止める自分がいる。