木枯らし1号の夜

天気予報では盛んに、今日は冬将軍の到来と木枯らし1号が吹くと報道しています。

ようこそ、冬将軍さまには歓迎できない体質の私ですが、いよいよ冬のモードにリセットするようにと喚起の意味もくみ取れます。
かれこれ20年近く前、木枯らし1号が吹き荒れた夜、友人から電話がかかってきました。
電話口の友人は興奮状態です。
「もう、限界なの。どうしても見過ごせなくなったの」「どうしたの?」と答えるのが私には精一杯でした。
「主人が使った後、水切りをしないため、ケースの中に水が溜まって、ブヨブヨなの。それが気になって気になって。一体主人はどんな育てられ方をしたのか、お義母さんに聞いてみたいわ。もう主人との生活はできないわ」
これまでの私が知っていた友人とは違っています。
本当に日常の小さな生活環境の違いから、少しづづ大きくなった溝です。
驚きのあまり絶句しています私に「ねえ、聞こえてる?」と迫ってきます。
私にはそんな小さいことでと思いましたが、友人には大きい問題なのです。
その夜、冬将軍さまが私の心に住みついたような寒さに寝付けませんでした。
柘榴も頑なに口を閉ざしたままです。